哲学書簡 - lettres philosophiques sur les Anglais

英国在住の日本人の視点から英国人の考え方などについて徒然と書いていきます

現代ドイツの闇

以下のニュース、地味ですが色々と気になる点の多いニュースです。

http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-41075710

 

概略すると、警察官と仲間の一人に対し、「左翼政治家」を殺害する計画を立てていたという疑いがかけられ、彼らはまだ逮捕はされていないものの家宅捜索などをされているとのことです。

 

どうして事件を起こす前にこんな疑いがかかったのかはわかりませんが、彼らがメルケル政権の移民政策に不満を持っていたことが記事中で示唆されています。

 

これは危険思想取り締まりなのか、テロリズム防止なのか。報道が事実なら両方であると言えますが、この種の人々はそもそも誤解されやすい上に不用意な発言をしがちなのであらぬ疑いをかけられている可能性も一応なくはありません。

 

いずれにしても、この事件は端的にドイツ国内の政治的状況に暗雲が漂っていることをはっきり示しています。

 

主流メディアの考え方に肯定的な立場から見ればナチスの悍ましい人種差別主義の再来の影が、逆に批判的な立場から見れば旧東ドイツ的な国家権力による思想統制の影が垣間見えるという意味で、視点は全く異なるとはいえ両方の立場から見て不吉な事件です。

 

それはかつ、主流派と懐疑派の溝が一段と深まりつつあるということを意味してもいます。

 

最近はアメリカで過去の偉人の銅像などを「白人至上主義」の象徴であるとして撤去を求める声が過激化しつつあり、かつこの動きに批判的な立場の人物が反白人至上主義活動家を殺害した事件が公になることでいよいよ暴走をはじめている感がありますが、今や西欧も単にインターネット上や私的空間で「政治的正しさ」の支配が広がるというだけにとどまらず、より公的な次元で政治的自由を本格的に失いつつあるのかもしれません。