哲学書簡 - lettres philosophiques sur les Anglais (par un Spinoziste Japonais)

英国在住の日本人の視点から英国人の考え方などについて徒然と書いていきます

雑記

哲学的テクストの「哲学的」価値とは?

英国に来て哲学を学び始めてそろそろ三年が経とうとしていますが、最近になってようやくわかってきたことがあります。 それは、「分析哲学」の世界においては「哲学的テクスト」の価値というのはそこに示されている「思想」そのものではないんだということで…

西部邁先生を偲んで - 西部先生の「明るいニヒリズム」と現代の若者の「暗いニヒリズム」

西部邁先生が亡くなられたということで、まだ呆然としています。 しかしただ呆然としていても仕方がないので、何か書こうと思います。 と、まるで先生のことを個人的に知るかのような口ぶりで始めてしまいましたが、事実としては別に私は西部先生に会ったこ…

若い世代が長文を読めない原因は「パソコン」が無いから?

パソコンの世帯主年齢階層別普及率をグラフ化してみる(2017年)(最新) - ガベージニュース この記事を読んで、「ハッ」としました。 若い世代って確かに自分のパソコン持ってない人が案外いるかもしれません。特に実家暮らしの10代なんかだと自宅の共用パソコ…

「教育」と「educatio」、および「learning」のニュアンスについて

今回は、日本語の「教育」という語に内包されている概念と、ラテン語の「educatio」の概念との差異から、日欧の根本的教育観および価値観の差異を明らかにし、かつここから「リベラリズム」の本質的深源は西欧における伝統的価値観そのものにあること、そし…

人気(popularity)という価値の重要性

さて前回はあまりに読みづらい形式であまりにつまらないことを書いたので、その反動で今度は超ソフト路線で行こうと思います。笑 これは、恐らく学者の先生方や特にその中でも哲学者の方は容易に肯きたくないことだと思いますが、何かを伝えるということを本…

「真実」について - truth, aletheia, veritas, rta, pravda, 「まこと」、「眞」の意味の差異から見える思想文化の違い

(今回は自分用に硬めに書いていたのをやっぱりブログに載せることにしたので、硬い表現のままですがご容赦いただければ幸いです。) 本稿はあくまで筆者の遊戯的推論であり、決して学問を僭称するものではないということを最初に断っておく。 各々の言語に…

日本に哲学なし?(新年のご挨拶もかねまして)

読者の皆様、新年明けましておめでとうございます。 皆様におかれましては、本年度も益々ご健勝いただかれることを切に祈念し申し上げる次第です。 さて、新年早々ではございますが「わが日本、古より今にいたるまで哲学なし」*1と中江兆民が嘆いて100年以上…

自分の考える「真理」を理解してもらうことの難しさ- Hayy ibn-Yaqzanの「真理」観

最近Ibn TufailのHayy ibn-Yaqzanの英訳を改めて読みました。この本は現実的にも歴史的にも色々と示唆的です。Hayy ibn-Yaqzanのメインテーマは理性のみに基づく「独学」という形で得られる知識の可能性を示すことですが、今回はHayy ibn-Yaqzanのサブ・テー…

20代の「論客」が少ない?「若者」がそれほど注目されない理由

今回は普段よりゆるめの内容です。(かつ、普通のネットメディア風に余計な工夫を少しだけしてみます。) イケダハヤトさんの「20代の論客が少なすぎる件—なぜ若者は語らないのか? : まだ仮想通貨持ってないの?」という記事を読み、今までぼんやり考えてい…

頭の良さ(IQ)と宗教、自由意志と成績/パフォーマンスについて

今回は哲学というよりも、哲学的信条と心理学的傾向についてです。最近の心理学・社会学系の論文にざっと眼を通しますと、どうも以下のような関係が確認されるというのが定説のようです。(もっともこういうquantitativeな社会科学ではあまり因果関係等は明…

六十干支と哲学者の基本的思想傾向について

今回はちょっと迷信じみた記事ですので普段とは色合いが違います。 六十干支による性格占いというのは日本や中国では昔からある伝統的な迷信で、現代でも例えば丙午の年には女児の出生率が著しく低下するなど、影響力をそれなりに持っているものです。 です…

東西の「名門大学」の違い、及び知的権威について

古典文献(哲学や神学をも含む)を読み解くことは、学問の祖型であろうと思われます。我が国においては、古くは儒学書を中心とする漢籍の研究や仏教経典に始まり、近代化以降はこれに加えて西欧の古典文献も学ばれるようになりました。現在では更に西欧の植…

92年生まれということ

先日「忘れ去られたゴミの92年生まれの私が見つけた、個性という名の呪いに効く薬」という記事を見つけました。「ゆとり世代」論は無数にありますが、ピンポイントで92年生まれに焦点を当てているのは面白いなと思い、私も同じ92年生まれとして92年生まれ…

日本語のローマ字表記について

非ラテン語文化圏においては自国語表記のLatin Transliteration(ローマ字化)をするのは当たり前のことで、どこでもやることですが、日本語のtransliterationは実に混沌としていて、この無茶苦茶さは日本人の外国語発音及び外国人の日本語学習に非常に否定…

日本における哲学研究についての独り言

あの、突然ですがDavid LewisのOn the Plurality of Worldsって翻訳が出たの去年なんですね。てっきりどこかにあるものだと勝手に思っていましたが。。 まあ今更Lewisに戻っても仕方がない感じもしますが、じゃあKripkeは?さすがに日本でも話題になっている…

自己紹介&本ブログの趣旨、及び英国留学のもうひとつの方法について

初めまして。神谷と申します。 2016年10月から2017年1月終わり頃まで「アゴラ 言論プラットフォーム」に正式メンバーの一員として寄稿させて頂いておりましたが、「歴史修正主義」に関する見解の相違をきっかけに池田信夫氏から叱責を受け、現在アカウント凍…