哲学書簡 - lettres philosophiques sur les Anglais (par un Spinoziste Japonais)

英国在住の日本人の視点から英国人の考え方などについて徒然と書いていきます

真の親日国はフランスである(という統計があります、という話)

このBBC World Service Poll(2017年度版)によると、日本って結構肯定的に評価されているみたいですね。この結果はWikipediaのAnti-Japanese sentimentのページに見やすいグラフにまとめられています。中国を除けば全ての調査対象国で日本に対する肯定評価…

人種差別と日本人 - なぜ西欧人は日本国内における「差別」を批判するのか

最近日本人の考える「人種差別」と世界における「人種差別」に関する常識のズレという問題が「ガキ使」のブラックフェイス騒動で微妙に話題になり始めている気がします。これについて掘り下げようと思えば様々な視点からいくらでも掘り下げることはできます…

若い世代が長文を読めない原因は「パソコン」が無いから?

パソコンの世帯主年齢階層別普及率をグラフ化してみる(2017年)(最新) - ガベージニュース この記事を読んで、「ハッ」としました。 若い世代って確かに自分のパソコン持ってない人が案外いるかもしれません。特に実家暮らしの10代なんかだと自宅の共用パソコ…

「教育」と「educatio」、および「learning」のニュアンスについて

今回は、日本語の「教育」という語に内包されている概念と、ラテン語の「educatio」の概念との差異から、日欧の根本的教育観および価値観の差異を明らかにし、かつここから「リベラリズム」の本質的深源は西欧における伝統的価値観そのものにあること、そし…

人気(popularity)という価値の重要性

さて前回はあまりに読みづらい形式であまりにつまらないことを書いたので、その反動で今度は超ソフト路線で行こうと思います。笑 これは、恐らく学者の先生方や特にその中でも哲学者の方は容易に肯きたくないことだと思いますが、何かを伝えるということを本…

「哲学」は非経済的(=崇高)なのか?

古今東西「哲学」の「非経済性」を嘲笑する経済人や、あるいは逆にそれ故に哲学は崇高であると誇る哲学者が後を立たない。(若干の留保の下で、この「哲学」の部分を「学問」一般に変換することも出来よう。) 私は無論どちらかといえば後者の派閥に属する者…

「真実」について - truth, aletheia, veritas, rta, pravda, 「まこと」、「眞」の意味の差異から見える思想文化の違い

(今回は自分用に硬めに書いていたのをやっぱりブログに載せることにしたので、硬い表現のままですがご容赦いただければ幸いです。) 本稿はあくまで筆者の遊戯的推論であり、決して学問を僭称するものではないということを最初に断っておく。 各々の言語に…

日本に哲学なし?(新年のご挨拶もかねまして)

読者の皆様、新年明けましておめでとうございます。 皆様におかれましては、本年度も益々ご健勝いただかれることを切に祈念し申し上げる次第です。 さて、新年早々ではございますが「わが日本、古より今にいたるまで哲学なし」*1と中江兆民が嘆いて100年以上…

私が日本の「右翼/保守」批判はズレていると思う理由

学校や塾などで歴史を勉強すると、「右翼」というのは常に「悪者」であるように見える気がしませんか?実は私も高校生くらいまでは何となく「右翼」に対して否定的な偏見を持っていました。 何といいますか、世界史や日本史でマイナスの出来事を起こすのは常…

自分の考える「真理」を理解してもらうことの難しさ- Hayy ibn-Yaqzanの「真理」観

最近Ibn TufailのHayy ibn-Yaqzanの英訳を改めて読みました。この本は現実的にも歴史的にも色々と示唆的です。Hayy ibn-Yaqzanのメインテーマは理性のみに基づく「独学」という形で得られる知識の可能性を示すことですが、今回はHayy ibn-Yaqzanのサブ・テー…

20代の「論客」が少ない?「若者」がそれほど注目されない理由

今回は普段よりゆるめの内容です。(かつ、普通のネットメディア風に余計な工夫を少しだけしてみます。) イケダハヤトさんの「20代の論客が少なすぎる件—なぜ若者は語らないのか? : まだ仮想通貨持ってないの?」という記事を読み、今までぼんやり考えてい…

頭の良さ(IQ)と宗教、自由意志と成績/パフォーマンスについて

今回は哲学というよりも、哲学的信条と心理学的傾向についてです。最近の心理学・社会学系の論文にざっと眼を通しますと、どうも以下のような関係が確認されるというのが定説のようです。(もっともこういうquantitativeな社会科学ではあまり因果関係等は明…

カントの第一アンチノミーが失敗しているという点について

(今回は結構挑戦的なことを書きますが、その割にはところどころ間違っているかもしれないのでご指摘いただければ幸いです。) カントといえば、哲学を知っている人にも知らない人にも何故か非常に尊敬されている、ある種の権威です。日本の西洋哲学史や高校…

形而上学的立場と政治イデオロギーの関係について

経験論(empiricism)とは、雑に言えば形而上学(知識論、epistemology)において真理根拠を経験に求める立場です。勿論、経験論の中にも色々と種類がありますが、大まかに言えば「理性主義(rationalism)」と言われる、理性による直観的認識(a priori int…

哲学は役に立たない?

「哲学は役に立たない」という議論(いや、議論でさえなく、たいていの場合はassertionですね)は日本では非常に頻繁に見かけます。 実は西欧(特にイギリス)でも哲学を勉強しているなんて言うと、「で、就職はどうするの?」と聞かれることは多いです。笑 …

スピノザ及びライプニッツの「充足理由律」について

日本ではスピノザってどう読まれているのかなと思って2chねるでスピノザに関するスレッドを見ていたら、スピノザと「充足理由律」の関係がどう捉えられているのかという質問を見つけ、答えようかと思いましたがスレッド自体が古いのでどうせならブログに書い…

現代ドイツの闇

以下のニュース、地味ですが色々と気になる点の多いニュースです。 http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-41075710 概略すると、警察官と仲間の一人に対し、「左翼政治家」を殺害する計画を立てていたという疑いがかけられ、彼らはまだ逮捕はされていない…

六十干支と哲学者の基本的思想傾向について

今回はちょっと迷信じみた記事ですので普段とは色合いが違います。 六十干支による性格占いというのは日本や中国では昔からある伝統的な迷信で、現代でも例えば丙午の年には女児の出生率が著しく低下するなど、影響力をそれなりに持っているものです。 です…

日本のメディアによる「外国」に関する報道について

日本のメディアの外国で起こった事件の報道の仕方には、何か異常性を感じざるを得ません。特にロシアに関する報道はどうも中立性を全く欠いているように思えます。例えば、Yahooに出ている時事通信の以下の記事( https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=201707…

「真のリベラル」と擬似リベラルの見分け方

そもそもリベラリズム(自由主義)とは何であるべきか 近年「リベラル」を自称する人が本当は「自由」とは別の価値を「自由」と同程度、あるいはそれ以上に強調しているという点で「リベラル」とはいえないのではないか、という意識を持っているのは私だけで…

フランスの大統領選挙 2017 第一次選

出口調査の結果が公表されました。Le Mondeの情報によると、今の所はMacron氏が23.7%で首位、次点でMarine Le Pen氏が21.9%、これをFillon氏が19.7%で、Mélanchon氏が19.2%で追う、という形になっています。(ちなみに社会党候補のHamon氏はわずか6.2%という…

フランスの大統領選挙

2017年のフランス大統領選挙ですが、今月の23日にいよいよ第一次選挙が行われます。 当初は共和党候補の圧勝が予想されていましたが、有力候補だったAlain Jupé氏や前大統領のNicolas Sarkozy氏が敗退し、比較的宗教色の強いFrançois Fillon氏が共和党候補に…

東西の「名門大学」の違い、及び知的権威について

古典文献(哲学や神学をも含む)を読み解くことは、学問の祖型であろうと思われます。我が国においては、古くは儒学書を中心とする漢籍の研究や仏教経典に始まり、近代化以降はこれに加えて西欧の古典文献も学ばれるようになりました。現在では更に西欧の植…

92年生まれということ

先日「忘れ去られたゴミの92年生まれの私が見つけた、個性という名の呪いに効く薬」という記事を見つけました。「ゆとり世代」論は無数にありますが、ピンポイントで92年生まれに焦点を当てているのは面白いなと思い、私も同じ92年生まれとして92年生まれ…

「真の哲学」とは何か

日本では「真の〇〇」というフレーズは至る所でよく聞かれますが、哲学に関してもこれは同様です。「アカデミック哲学」あるいは『「哲学」学』などと揶揄される、大学における研究者の哲学研究に対置されるものとしての「真の哲学」あるいは「本物の哲学」…

日本語のローマ字表記について

非ラテン語文化圏においては自国語表記のLatin Transliteration(ローマ字化)をするのは当たり前のことで、どこでもやることですが、日本語のtransliterationは実に混沌としていて、この無茶苦茶さは日本人の外国語発音及び外国人の日本語学習に非常に否定…

欧州の最近の動向(Feb-Mar 2017)

先日のオランダの選挙では「極右」政党は躍進できませんでしたが、非英語圏西欧において「ポピュリズム」を展開することの難しさを改めて立証することになりました。 フランスでももうすぐ大統領選挙がありますが、BFMの各社のアンケート調査(sondage)の集…

スピノザと日本の関係(1)スピノザの形而上学

Pierre Bayle(1647-1706)という、スピノザと同時代を生きたフランスのとある哲学者は、スピノザの哲学を「日本人の哲学だ」と評し批判しました。この時代の「日本人の哲学」がどんなものだと思われていたのか非常に興味がありますが、一般に西欧の研究者の…

西欧大手メディアはやはり「フェイクニュース」だった - 知的エリートの凋落

今英語圏で大変な話題になっていることについて、日本では実に断片的で偏った報道した出ていないようなので、今の私が書いてもほとんど影響力は無いとは知りつつ一応書いておこうと思います。 YouTuberとして最も成功した人と言われているPewdiepie(本名:F…

アサド政権について

Le Figaroにシリア大統領アサド氏のインタビューに関する記事が載っていました。 これまで通り、信用すべきなのか「レトリック」として冷笑すべきなのかわからないような妙なことを今回も述べているようです。上記リンク先の記事にはこうあります。 «La poli…